2010年7月30日金曜日

滅失の事実がないのにされた建物滅失の登記の効力

顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマをまとめます。

今日は、滅失の事実がないのにされた建物滅失の登記の効力についてです。

この点について、最高裁は、以下のとおり判断しました(判決文の引用)。

登記された甲建物について、滅失の事実がないのにその旨の登記がされて登記用紙が閉鎖された場合には、甲建物に設定され、その旨の登記を経由していた根抵当権が登記簿上公示されないこととなるから,右滅失の登記は根抵当権に対する妨害となっているといわなければならない。そして、更に右建物につき別の乙建物として表示の登記及び所有権保存登記がされている場合には、直ちに右滅失の登記の抹消登記の申請をしても、その抹消登記によって甲建物の表示の登記及び所有権保存登記が回復すれば、それらの登記と乙建物としてされた表示の登記及び所有権保存登記とが併存することとなっていわゆる二重登記となるため、右の申請は却下されることとなるのであるから、乙建物の表示の登記及び所有権保存登記も、根抵当権に対する妨害となっているということができる。したがって、登記された甲建物について、滅失の事実がないのにその旨の登記がされて登記用紙が閉鎖された結果、甲建物に設定されていた根抵当権設定登記が登記簿上公示されないこととなり、更に右建物につき別の乙建物として表示の登記及び所有権保存登記がされている場合には、根抵当権者は、根抵当権に基づく妨害排除請求として、乙建物の所有名義人に対し、乙建物の表示の登記及び所有権保存登記の抹消登記手続を、甲建物の所有名義人であった者に対し、甲建物の滅失の登記の抹消登記手続をそれぞれ請求することができるものというベきである。



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