2010年1月25日月曜日

顧問弁護士(法律顧問)がよく聞かれるテーマ:科料と過料

顧問弁護士(法律顧問)がよく聞かれるテーマをまとめています。

今回は、科料と過料についてです。


「科料」と「過料」は、いずれも「かりょう」と読みますが、両者を区別する意味で、「科料」は「とがりょう」、「過料」は「あやまちりょう」とも読みます。一般に、「科料」は「刑事罰」、「過料」は「秩序罰」といわれています。


まず「科料」は、刑罰の一種で、広い意味の罰金の一種です。罰金と科料との相違は、金額の相違です。罰金は1万円以上であり(減軽して1万円未満になることもあります)、科料は、1万円未満です(1000円未満にはなりません)。比較的軽い罪の罰則ということになります。ただ、納付しなければ、罰金と同様、「労役場留置」として、刑務所に収監されて、支払い終わるまで働かなければなりません。なお、罰金とは財産刑の一種であり、行為者から強制的に金銭を取り上げる刑罰です。


 刑法上では、公然わいせつ、わいせつな文書・図画の頒布・販売・公然陳列、侮辱、遺失物等横領、器物損壊などのうち、犯情の軽いものなどが科料となりえますし、条例で定められている科料もあります。


 次に、「過料」は、大きく分けて「秩序罰としての過料」「執行罰としての過料」「懲戒罰としての過料」があります。

 「秩序罰としての過料」というのは、民事上、民事訴訟上の義務違反に対するもの、行政上の義務違反に対するもの、地方公共団体の条例・規則違反に対するものがあります。
 
 「執行罰としての過料」は、規定はありますが、実際には機能していません。

 「懲戒罰としての過料」は、規律維持のため、義務違反に対し制裁を科すことをいいます。最近では、裁判員制度において裁判員(又は裁判員候補者)の虚偽記載や出頭義務違反等に科される過料も、懲戒罰としての過料に当たるといわれていますし、路上喫煙防止条例の過料も、これに含まれるといわれています。

 過料は、犯罪ではなく、「前科」になりませんし、科料と違って、労役場留置はありません。しかし、多額の過料を科せられることもあります。



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なお、法律というのは絶えず改正が繰り返され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを押さえても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります(特にこのブログで紹介することの多い労務問題(残業代の未払い、サービス残業など)は、これらの傾向が顕著です)。そして、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際にご自身で解決することが難しい法律問題に直面した場合には、一般的に得られる知識のみに基づいてご自身で判断してしまうのではなく、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。また、最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。

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