2010年3月18日木曜日

残業代請求、サービス残業などの解決手続:労働審判

残業代の問題(不払い、未払い)、サービス残業問題の解決手続として、労働審判があります。今日は労働審判について整理します。

まず、労働者または使用者(労働者であることが多い)が裁判所に対して申立てをすることで手続が始まります。第一回期日は申立後40日以内に指定されるため、答弁書や証拠書類(陳述書など)は、第1回期日の1週間くらい前が提出期限となることが通常です。

第一回期日の前には、労働審判委員らが、提出された書類を確認します。

第一回期日には、争点の整理をして、関係者の尋問が行われます。

第二回期日(第一回期日後、1か月以内に指定)においては、労働審判委員がその心証に基づいて調停をする可能性を探るために、当事者双方から聞き取りをし、当事者に対して調停案が示され、次回までに双方が合意が成立するか検討します(場合によっては、第一回期日の段階で合意に向けた調整が始まるケースもあります)。

第三回期日までの間に合意が可能であれば調停が成立し、ここで手続は終了となります。この合意は、裁判上の和解と同様の効力が認められ、終局的な解決となります。強制執行も可能です。

調停における合意が困難な場合には、労働審判委員会は審判をします。

審判に不服がある場合には、2週間以内に異議申立を行えば、通常の訴訟に移行します。

上記の異議申し立てがなければ審判内容が確定し、確定判決と同様の効果が生じます。

労働審判のポイントですが、期日が三回に限られている以上、第一回期日が重要となります。よって、労働審判の申立を起こされた場合は、早急に的確な答弁書を作成する必要があります。また、証拠書類の提出も原則として第二回期日までに提出する必要があります。

三回までしか期日がないため、第一回期日の段階で、的確な書証を整え、関係者を同行させるなどして、万全の準備をする必要があるのです。これは結構大変です。

そして、労働審判は、多くの場合、労働者が申立て、会社側が相手方となりますが、上記のとおり、短時間で的確な反論をする必要がありますので、申立をされた場合には、早急に顧問弁護士に問い合わせることをお勧めします。最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。


労働者側にとっても、労働審判は、訴訟に比べてスピーディーな解決が可能ですので、利用を検討する際には、弁護士に相談してみると良いと思います。

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